2014年11月02日

天地雷動




 長篠の戦いを武田信玄死去後から描いた本。

 戦い自体は全体の1/4にも満たない分量しかありません。それだけ、この戦いが戦略的な要素で雌雄が決したという切り口で描かれています。

 長篠の戦いというと、信長が鉄砲の新たな運用方法を編み出し、武田騎馬軍を撃滅したという風に伝え聞いていました。
 しかし、この本を読んで、戦場における鉄砲の運用の話は、戦術的な枝葉末節の話だったと感じました。
 鉄砲という新兵器が戦いの中心になってきたからこそ、兵站が最重要事項に移ってきていた。そのことを認識できたかどうかが雌雄の境目だったことがよくわかります。

 また、武田軍においては、カリスマの信玄が跡目問題を先送りしたままで亡くなってしまい、それが内部の新旧勢力対立を引き起こしてしまう。長篠の戦いも、本来であれば積極的に行う性質のものではないと自覚しつつ結果的に戦わなくてはならなくなってしまったのも、燻った内紛が要因となっていたことが、よく描かれています。

 家康が目先の武田方の動きに翻弄され慄く姿が描かれることで、信長のトリックスターぶりが一層輝きを放っていました。
ラベル:伊東潤
posted by KOZO at 09:26| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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